私たち中小企業経営者は、買ってくれたお客様だけに注目しがちです。
見込み客に対してアプローチをして、「今すぐ」買ってくれたお客様はありがたい存在ですが、あなたが思う以上にその数は少ないのです。
ですから、見込み客の中の今すぐ買ってくれるお客様だけに注目して営業活動をしても売上は思ったように伸びないでしょう。
見込み客の中には、あなたの商品にまったく興味のない人もいますが、何らかの“理由”があって、「今すぐ」買うのを躊躇している可能性があります。
数の上では多い、こういったお客様の「買わない理由」を知り、それを排除して上げることで、「今すぐ」買いたい見込み客に代わる可能性があります・・・。
買わない理由を知ることは重要です!!
お客様が買わない理由はなんでしょうか?
ちなみに、買わないだけでなく、買ってもあなたの商品を消費しない場合も重要です。
いくらお客様が買ってくれたとしても、商品を消費、つまり使わなければ買わないのと同じだからです。
確かに、商売的には買ってくれたのだからいいではないかと思いがちですが、お客様は間違いなく満足していないわけです。
こういったお客様は、再びあなたのところで商品を買おうと思うでしょうか?
購入も含めて消費しなかったお客様は、きっとなんらかの障害があるから使わなかったはずです。
その障害を知ることはとても重要です。
なぜなら、数の多い「買いたいのだけれども、理由があって今は買わない客様」と出会える可能性があるのですから・・・。
買わない4つの理由!!
見込客が買わない理由は以下の4つです。
- スキル
- 資力
- アクセス
- 時間
1のスキルは、商品を使いこなせないからという理由です。
昔のコンピュータは“スキル”がないと使うことができませんでした。
大型コンピュータは言うに及ばず、ミニコンピュータだって、プログラミングのスキルがなければ扱える代物ではなかったのです。
もし、あなたの商品を使うためにはスキルのある人の手助けが必要だというなら、そこに制約(買わない理由)があるということです。
スキルの制約で関連するお話しをしましょう。
今では、多くの会社が会計ソフトを使い会計処理しています。
そして会計ソフトへの入力、あるいは入力内容のチェックを専門家に依頼している方は多いでしょう。
会計ソフトは税理士がいなければ使うことができないのだから、「今は買わない」という選択をする人は非常に多いはずです(その結果、税理士が勧めるものを使う)。
会計についてのスキルがなくても使いこなすことが可能なら絶対買うという人が多いにもかかわらず、多くの会計ソフトメーカはこの肥沃な大地を見逃しています。
つまり、会計ソフトは税理士などの専門家のアドバイスが必要であるという前提で売っています(特に税理士向けの会計専用機を売っていたメーカはこの前提から抜け出せないようです)。
一方、この前提に風穴を開けるうようなメーカーも登場してきています(たとえば“freee”)。
こういったメーカーの狙いは、会計スキルがなくても簡単に扱えるソフトを作ることで多数の買わないお客様に税理士を通さずに直接アプローチすることにあります。
そして、AI技術の向上とともに、この狙いは実現し、こういったメーカーが会計ソフトの市場リーダーになっていくでしょう(ちなみに、私は“freee”と関係はありませんよ)。
②の資力は、そのものずばりでお金がないからという理由です。
ここで注意しておきたいのは、「お金がないから買わない」というお客様は「お金があれば買う」、つまり“欲しい”とは思っているということです。
“欲しい”と思わないお客様(つまり、まったく買う気のないお客様)は一銭だって出すのは嫌なはずですから。
また、お金がないというお客様は、本当お金がないのかということです。
もしかしたら、単に今は買うだけの持ち合わせがないだけかもしれません。
あるいは、いっぺんに支払うだけのお金を工面できないだけで、月々の支払がわずかであれば買うことができるのかもしれません。
こういった人は、例えばカードでの支払いやローンでの支払いができるなら、あなたの商品を買うことができます。
お客様の資力の制約の例は「格安スマートフォン」です。
スマートフォンは欲しいけれど通常のスマホでは月額料金が高いと思っているお客様のお金の制約を「格安スマホ」は取り除いています。
③のアクセスは特定の“場所”や“状況”でないと使えないということです。
わかりやすい例でいえば電話です。
携帯電話が登場する前には、電話をするのは家か公衆電話を探すしかありませんでした。
特に電話を受けるのは、外出してしまえばどうしよもありませんでした。
この場所の制約を取り除いた「携帯電話」が爆発的に広がったのはあなたの知ってのとおりです。
それでは特定の状況とはなんでしょうか?
カップヌードルがその例です。
カップヌードルはあさま山荘事件で広く世間に広まりました。
山の中の近くに食事する施設や調理場もないような“状況”で、カップヌードルは温かい食事を手軽に取ることができるから爆発的に広がったのです。
④の時間はスキルもあり、お金もあり、提供されている場所にアクセスできるにかかわらず、消費するのに時間がかかり過ぎたり、面倒だったりする場合です。
私はラーメンが好きですが、長時間並んでまで食べるのは嫌です。
それほど並ばなくても食べられそうな空いている時間が事前に分かれば、私にとって“時間の制約”は排除されるわけです(最近はインターネットなどでわかりますが)。
また、ラーメン有名店とのコラボ企画であるカップラーメンを食べたりすることもあります。
こういったカップラーメンを買う人は多いのではないでしょうか?
もし、メーカー主導でなく、有名ラーメン店が主導して家でも食べられるような商品を作れば、並ぶのが面倒なお客様を多く取り込むことができるということでしょう。
こういった買うのに時間がかかり過ぎて嫌だというのは結構多いのではないかと思います。
例えば、スーパーのレジや病院の診療待ちがそうです。
さっさと買い物を済ませたいのに、長い行列ができていて長く待たなくてはならない。
レジが空いている場合はなおさらイライラします。
その長い行列を見て買い物をやめてしまう人がいるなら、なんとももったいないことです。
この時間の制約は、買うのに時間がかかるというだけではなく、商品を使いこなすのに時間がかかるということも含みます。
商品を使いこなすのに時間がかかるという制約は①の“スキル”に関連します。
会計ソフトの例で言えば、専門家のアドバイスなし(スキルの制約を取り除くということ)で、決算書まで作成できるソフトが2つあったとします。
1つは導入し、うまく使うまでに1カ月ぐらいかかり、もう一つは1週間で完了できるぐらい、スキルの制約を取り除いています。
当然、あなたが買うのは後者のソフトであるはずです。
ビジネスをしていると、買ってくれるお客様にどうしても注目してしまいます。
しかし、買わないお客様の買わない理由を排除してあげることで、あなたの商品を買いたいお客様が殺到するかもしれないのです。
なぜなら、上の4つ制約により買わないお客様は、既存の商品を我慢して使っているか、自分に合った“商品が存在しない”ので買わないで我慢しているというフラストレーションがたまった状況にあるからです。
まとめ
買わないお客様のその理由を知り、それを排除してあげることで、あなたの商品にお客様が殺到してくれるかもしれません。
今のビジネスに閉塞感を感じている経営者の方は、買わない理由を知ることで現状を打破できるでしょう。
ブルーオーシャンは私たちの近くにあるのかもしれません・・・。