銀行を知ることはスムーズな融資獲得に役立ちます。
以前の記事「天使バンクと鬼バンク」で、銀行は自分の利益になると判断した相手には積極的に融資対応すると説明しました。
それでは、銀行が利益をあげるための条件は何でしょうか?
融資審査における判断材料や判断基準は?
銀行の「儲け方」と「考え方」の特徴を知ると答えがみえてきます。
銀行の儲け方
銀行の収益モデルは預金等により調達した資金を運用して利ザヤを稼ぐことです。運用方法のうち中小企業が主に関係するのが貸付です。貸付業務では企業等にお金を貸付けて、元本と利息を回収しますが、利息が銀行の儲けとなります。
利息(儲け)=貸付高×貸付利率
単純に考えると銀行が儲けを大きくするためには、「たくさん貸出す」、「高い利率で貸出す」ことが理にかなっているように思えますが、それより重要なことは「貸付けた元本を確実に回収する」ことです。
銀行の貸付業務は利幅がとても薄く、年利1~4%程度の利息収入で資金調達コスト、貸倒損失、人件費等の固定費を回収しなくてはなりません。仮に融資先が100社あって、その中の1社が倒産して回収不能となるとたちまち大赤字になるという商売なのです。
儲けを確保するためには貸出先は「きちんと返済できる相手」であることが絶対条件です。
資金繰りに窮していて改善の見込みが立たない会社に対しては、収益性への悪影響を考えると、融資は実行できません。また貸出後も財務内容を絶えず注視し回収不能のリスクが高まると貸出金の回収を図ったり、金利の引上げや追加の担保を求めるのです。
融資審査の特徴~決算書重視
審査で重要なことは、きちんと返済できる相手であるかを見極めることです。
銀行は、決算書に基づいた財務内容で、ほとんどを判断してしまいます。
決算書は企業活動の過去の実績を会計数値で表した財務情報です。これに問題がない場合は将来の返済能力もあると判断します。一方、決算書に表れていない会社の強みは考慮されにくいため、たとえ成長につながる優れた技術や強力な販売力をもっていても財務内容が良くない場合には評価が低くなる可能性があります。
将来の返済能力を評価するという観点からは、過去の実績だけではなく、財務以外の強みを考慮して事業の将来性を評価すべきともいえます。ところが銀行員は財務・金融のプロではあっても、融資先の事業に関しては素人であり事業を評価する能力は通常高くありません。特に中小企業は事業内容のバリエーションが豊富で置かれた状況も性格も様々です。さらに、それぞれの企業に関して入手できる情報は質も量も限られているため、個々の企業の実態に即して将来の返済能力を合理的に予測することは実務上困難です。
このため銀行は自らの専門領域でノウハウがある財務内容にウエイトをおいて借手の返済能力を審査しているのです。
また、評価能力の限界以外にも、決算書でほとんどを判断する理由があります。銀行では多くの案件を効率よく処理するため、複数のメンバーが組織的に関わっています。財務数値を用いることで、客観性が確保でき審査に関わる人の合意を取り付けやすいことや標準化した手続で業務を効率化できるメリットがあります。
まとめ
銀行が返済能力を重視して、返済能力を決算書により評価する以上、融資を受けようとする会社は決算書で自社の返済能力を証明しなくてはなりません。
□あなたの会社はきちんと返済できることを銀行に説明できますか?
□あなたの会社の決算書は銀行からの評価を意識して作成されていますか?