あなたは、考える道具を持っているでしょうか?
考える道具は、5W1H、マインドマップ、MECE(ミッシー)などいろいろあります。
書店に行くと、様々な考える道具を紹介している本がたくさん売っています。
私もつい手を出して買ってしまいます。
しかし、これらの考える道具をもれなく活用しているわけではありません。
結局、考える道具を10も20も持っていても、よほど器用な人でない限り使いこなせないと思います。
マインドマップは紹介された当時は使っている人を多く見かけましたが、今でも使い続けている人はそんなに多くないでしょう。
だから、片手で数えるぐらいのツールを“使い倒す”ことが重要ではないかと思います。
私の場合、気合をいれなければ使えないようなものではなく、シンプルなものが好きです。
今回は以下の使ってみてよかったもの、3つを紹介します。
- 空・雨・傘
- マンダラチャート
- ださくにたおち
1の「空・雨・傘」は大手コンサルタント会社などが使っている有名な考える道具です。
知っている人も多いのではないかと思います。
なぜ、「空・雨・傘」という名前なのかというと、「“空”が暗くなって雲行きが怪しくなってきた」、「“雨”がふりそうだなぁ」、「“傘”を持って出かけよう」という考え方のパターンから取っているからです。
つまり、“空”は状況把握です。
そして、“雨”はその状況に対しての解釈
最後の“傘”はその解釈から導き出された行動を表します。
この考える道具は日常的に意識しなくとも使っているので、とっつきやすいのではないかと思います。
たとえば、「頭が痛いなぁ(空)」、「風邪をひいたかも(雨)」、「医者に行こう(傘)」のようにあなたも意識しなくても使っているはずです。
しかし、ビジネスではなぜか「空」だけとか「空・雨」までとかで終わってしまうことも多いのす。
「製品が売れない(空)」のは、「競合品に対してコストパフォーマンスが低いから(雨)」といったようにです。
このようなことがないように、ビジネスでは「空・雨・傘」を完結させるように注意して使う必要があります。
2のマンダラチャートは大谷選手が高校時代に目標達成のために書いたものが有名です。
参考 ➡ 大谷選手のマンダラチャート
基本は9マスです。
真ん中にテーマ(目標や問題など)を書きます。
そして、周りの8つのマスは、「そのためにはどうしたらいいか」を考え埋めていきます。
さらに、周りの8つのマスの1つずつをテーマにして「そのためにはどうしたらいいか」というふうにブレイクダウンして考えを広げていきます。
頭の中のアイデアを出し切ることができ、しかもそれぞれが関連性を持っているので非常に便利な道具です。
マンダラチャートは、マインドマップに似ていますが色・デザインにこだわらなくていいので私は好きです。
しかも、最初からすべてのマスを埋める必要がないため、プレッシャーがないのもいいです。
ちょっとした空いた時間に、メモ帳に思いついたことを書くことができる手軽さがいいと思います。
3の「ださくにたおち」は以下の言葉の頭の文字をつなげたものです。
- 代用できないか
- 逆さまにしたらどうか
- 組み合わせたらどうか
- 似たものはないか
- 他の用途はないか
- 大きくしたらどうか
- 小さくしたらどうか
私たち売り手は、自分でも気づかないうちに固定観念に縛られ、発想に柔軟性がなくなっていきます。
「ださくにたおち」は発想をやわらかくし、新しいアイデアを生み出すのに役立ちます。
「ださくにたおち」に関連したある商品についての話をしましょう。
アーネストという会社が開発したシュレッダー・ハサミです。
5本のハサミを重ね合わせた構造で紙を細かく切るための道具です。
このハサミはもともと「刻み海苔を作る用途」で開発されたそうです。
あまり売れませんでしたが、あるユーザーから“シュレッダー”として使っているとの情報を得て用途を変更したところ大ヒットとなったそうです。
あなたもお分かりのように、一度「刻み海苔を作る」目的で開発された商品は売れようが売れまいがそのまま売ります(そして、市場から消えていきます)。
つまり、今ある商品について、私たちは固定観念に縛られて「他の用途」を普通は考えないのです。
事実、この会社もユーザーからの情報でそうしただけで、この会社が率先して考えついたわけではありません。
しかし、もしこの会社が「ださくにたおち」を知っていたら、売れなかった刻み海苔を作るための商品を「シュレッダー(他の用途)」として自分で考えて売り出すことができたかもしれません。
逆を言えば、別の用途で使用しているユーザーからの情報がなければ、思いつかなかったかもしれないわけで、考えると恐ろしくなります。
このように、考える道具を持つか持たないかで、ビジネスに大きな影響が出るかもしれません。
ですから、スピーディーに決断を下さなければならない経営者は2,3の考える道具を“使いこなす”ことは必要であると思います。