あなたが銀行取引を重荷に感じているとしたら、銀行を正しく理解していないことが原因かもしれません。本当の銀行を知って楽に取引できるようになりましょう。
借入れを難しくしている勘違いのタイプは二つあります。
ひとつは融資獲得テクニックの通用する範囲や必要な時間についての勘違いです。銀行対策をひとつ実行するだけで直に融資を受けられるようになる会社は極めて稀です。通常は時間をかけて小さなステップを重ね、試行錯誤することで初めて融資で苦労しない会社となることができます。
もうひとつは銀行観についての勘違いです。これは融資のハードルを必要以上に高く感じ身構えてしまうことや、逆に銀行に対して社会的役割や良心を過度に期待してしまうという間違いです。このタイプの経営者は銀行の本質を知り正しい銀行観をもつことで資金調達活動の負担を軽くすることが可能です。
今回は、ふたつ目の勘違い「銀行観」に注目していきます。
あなたの銀行観は?
・資金で困った時、すぐに融資を実行して助けてくれる。
・経営の悩みを親身に聞いてくれ、的確な助言をくれる。さらに優良な取引先を紹介してくれる。
・条件のいい投資案を提案してくれ、そのための資金も提供してくれる。
経営者はこのような「天使バンク」と取引したいと願うでしょう。
しかし現実の銀行は全く違いますね。
むしろ以下のような「鬼バンク」に苦しめられていると感じる経営者も少なくないかもしれません。
・どうしても必要な資金なのに理不尽に融資を断られる。
・会社の経営自体には関心がなく、融資を確実に回収することばかり気にしている。
・強く勧められて金融商品を購入したが、本当に得したのは銀行だけでは?
しかし、上記の「天使バンク」と「鬼バンク」はいずれも極端すぎるイメージで現実の銀行を映すものではありません。このような先入観を持って融資獲得に臨んでも良い結果は期待できません。資金調達を成功させるためには正しい銀行観を持つことが大切です。
銀行は単純、難しく考えるな!
実は銀行の考え方、行動はとてもシンプルです。
銀行は高度な経営判断により融資可否をフレキシブルに決定しているわけではありません。むしろ一般の事業会社と比べると驚くほどシンプルに画一的な社内ルールにより行動していると言ってよいでしょう。したがって銀行内のルールを知り、そのルールの中で融資可能と判定されるような対策を打つことが正しいアプローチです。
銀行員の言動の背後にある銀行の本質を理解すると、自社にとって有利な判断・行動を引き出すには何が必要か、何をすべきかが導かれます。銀行対応でストレスを感じてしまう原因は銀行の行動パターンを知らないからです。財務内容の改善は一朝一夕にはいきませんが、銀行に対する意識は直ちに変えることができます。銀行を知ることは融資を受けやすいマインドを持つことに直結します。
銀行の本質を意識するとは
銀行取引にあたって最初に肝に銘じておくべきことは、「銀行は利益獲得を目的とした民間企業」ということです。営利企業である限り経済的合理性を説明できない融資判断はできません。当たり前のことですが、ここのところをしっかり心得ておかないと銀行が交渉で何を求めているのか、なにを考えているのか、ちっとも解らず混乱してしまうだけです。
確かに銀行は資金供給を通して企業を育成して産業を支えるという社会的ミッションを担っています。ただしビジネスとして融資業務を続けていくためには融資先は将来きちんと返済できると見込まれる会社でなくてはなりません。業績不振でお金に困っていて改善のめどがたたない会社に対しては厳しい対応をとらざるを得ないのです。
一方、営利目的ということは、貸出すことで確実に利益になると判断した場合は積極的に対応してくれるということです。返済能力にほとんど懸念がない相手には「天使バンク」的な対応も期待できるのです。
まとめ
銀行は融資により利益を獲得しなければなりません。貸出すことで利益になると判断した場合は積極的な対応が期待できます。
あなたの会社は銀行にとっていい取引相手(儲けさせてくれる借手)であると銀行に説明できますか?