借入金を怖いと思う経営者もいると思いますが、借入自体は企業にとって不可欠なものです。
とはいえ、借入金は支払利息を払わなければならないので、無計画な借入金は経営の足かせになる可能性があります。
実は、金利負担が重荷になっていないかをみる「純金利負担率」という簡単な経営指標があります。
この記事を読むことで純金利負担率について次のことがわかります。
- 計算方法
- 意味
- 目安
- 改善方法
この簡単な経営指標で適正な水準の支払利息がわかり、資金繰りの負担にならない借入れができるようになるでしょう。
１．純金利負担率の計算方法
純金利負担率の計算は次のとおりです。
分母は売上高です。
分子は支払利息割引料から受取利息を控除します。
企業の純金利負担をみるためです。
２．純金利負担率の意味
低ければ良いと判断します。
企業にとって金利負担が重いか、軽いかを見る指標であり、短期的な財務の安全性がわかります。
借入れが多いと当然に金利負担も重くなります。
そして、金利支払いのためのキャッシュを生み出す大もとは売上高です。
純金利負担率は、キャッシュの源泉である売上高に占める純金利の割合から金利負担能力をみているのです。
支払利息割引料の占める割合でなく、そこから受取利息を控除するのは実質的な金利負担をみるためです。
支払利息の支払源泉は売上高だけでなく、同じ金融から生じる受取利息もそうだからです。
なお、売上高はキャッシュの源泉ではありますが、本当に金利を支払えるだけのキャッシュがあるかどうかはわかりません。
仕入代金、人件費、家賃などを払っていかなければならないからです。
ですから、本当の金利負担能力を知りたいなら、「営業キャッシュフロー」をベースに考えるほうが望ましいでしょう。
この営業キャッシュフローベースで金利負担能力をみる指標にインタレスト・カバレッジ・レシオという経営指標があります（インタレスト・カバレッジ・レシオについてはこちらの記事で詳しく解説しています）。
３．純金利負担率の目安
純金利負担率の目安は次のとおりです。
ただし、中小企業実態調査では、残念ながら受取利息の額がわかりません（営業外収益として一括で表示されているため）。
分子は支払利息割引料として計算していますので、受取利息を控除する純金利負担率より高めになります。
しかし、現在は低金利ですので、よほどキャッシュ・リッチな企業でない限り、影響は軽微でしょう。
４．純金利負担率の改善法
計算式からわかる改善法は次の２つです。
- 純金利（支払利息割引料－受取利息）を減少する
- 売上高を増やす
４－１ 純金利を増やす方法
純金利を減少する方法は次のとおりです。
- 借入金の返済
- 借入金利の引き下げ
- 預金の増加
- 預金金利の引き上げ
簡単ではありませんが、借入金の減少が可能であるなら返済を検討しましょう。
当然、預金残高は減少するため受取利息は減少しますが、借入金金利のほうが高いため、純金利は減少します。
もし、金利の高い金融機関から借り入れている場合は、借り換えなどを検討しましょう。
預金残高を増加する基本はキャッシュを生み出す源泉である売上高を増やすことです。
一時的にキャッシュ・インする施策にばかりに目を奪われないように注意する必要があります（たとえば、遊休資産の売却）。
預金金利の引き上げは金利自体の引き上げを目指すより、預金残高を増やすことにより利息の絶対額を増やすようにしましょう。
４－２ 売上高を増やす方法
これからの経済環境を考えると、売上アップは難しいと考えている経営者も多いでしょう。
しかし、多くの中小企業は局地線で戦っていますので、まだまだ売上を伸ばす余地はあります。
「販売力・営業力」は多くの中小企業経営者が悩むことですので、売上を増やすことは難しいことではあります。
しかし、だからと言ってあきらめてしまうことも良くありません。
売上アップを考えることは従業員にはできない社長の大切な役目ですので、挑戦し続けて欲しいと思います。
まとめ
あなたの会社の金利負担が重いか、軽いかを簡単にみる「純金利負担率」という経営指標があります。
もし、あなたが金利負担を重いと感じているなら純金利負担率が高くなっている可能性があります。
