あなたは知識やスキルアップのために投資をしていますか?
「節約」するのは非常に大切です。
多くの収入があっても節約しなければざるで水をすくうようなものだからです。
しかし、「節約」ばかりを考えていると知識やスキルアップのための投資ができなくなります。
「節約」を強く意識するあまり、このような「投資」はもったいないと思ってしまうのです。
ですが、私たちはスーパー経営者でもない限り、こういった「投資」をしてレベルアップを常に図っていかなければなりません。
あなたも企業家なら、投資したお金が100%戻ってくるとは思っていないでしょう。
つまり、投資した額以上のお金を得ることもあれば、そうでない時も当然あるわけです。
もちろん、投資したお金がそれ以上になって戻ってくるように頭を捻り、その確率を引き上げることは必要です。
しかし、悲しいかなどんなに頑張ってもリスクをゼロにはできません(短い期間ならできるかもしれませんが)。
だから、このような不確実性に耐えることができないなら、企業家などしないほうがいいということです。
ドラッガーはこう言っています。
『意思決定(執筆者注:不確実な状況で決定できる人)を行うことのできる人ならば、学ぶことによって、企業家的に行動することも企業家となることもできる』(イノベーションと企業家精神)
残念なことに、多くの中小企業経営者は経営課題の一つと捉えているにもかかわらず、“学ぶこと”への「投資」は極力したくないと考えているのではないでしょうか?
その投資とは、ドラッガーの言うところの『勘ではなく、原理や方法』(前掲書)を学ぶこと、具体的には経営に関する知識やスキルを学ぶということです。
一方、あなたも知っているように、有名な経営者はこういった知識やスキルに対して非常に勉強熱心です。
彼らはとても博識である種の哲学を持っていますが、それは経営に生かそうと書籍やセミナーで常に勉強し考えているからなのでしょう。
確かに、こういったものの効果を測るのは容易ではありません。
しかし、自分に“足りない”ものがあるなら、どこかでそれを調達しなければなりません。
それをしなければ、あなたは“そのまま”ですし、もしかすると後退してしまうかもしれません。
「でもなぁ、効果があるかどうか分からないからなぁ」
前述したように、この手のものは効果を測ることは難しいので、お金を出したくない気持ちもわかります。
ですが、ある経営者はこういった疑問に次のように答えています。
「書籍なり、セミナーは5%でも、“得るもの”があれば満足だよ」
学び続けている社長は知っている知識が増えてきますから、それに反比例して“得るもの”は少なくなってきます。
しかし、そこで止めないで学び続けます。
一方、私たち普通の経営者はどうでしょうか?
次のようなことを思う経営者も多いかもしれません。
「なんだよ!!この本2千円もしたのに、役に立ちそうなのはほんのちょっとだよ。あぁ、もったいない。もう、何も学ぶ必要はないかな」
たとえば、300ページの本で10ページ分ぐらいしか役に立っていないという場合、“得たものの値段”を計算できそうです。
そして、計算上出た値段を“価値”だと考えるから、「もったいない、損した」と思うわけです。
一方、学び続ける社長は、このような計算上出た値段を“価値”だと単純に考えていないのです。
そもそも、多くのお金が掛かる設備投資の経済性計算(その設備投資は得か損かの計算)ですらしていない経営者は多いのですから、“学び”のためのわずかな投資にそれほど目くじらを立てる必要もないでしょう。
“学び”のための投資は、そもそも効果が単純に測れるものではないし、今すぐに効果が出るものでもありません。
その知識は、将来起こるかもしれないあなたの窮地を救ってくれるかもしれません。
ですから、ほんの少しでも役立つことがあれば、価値があったと考えるぐらいがいいでしょう。
幸いなことに、書籍やセミナー(こういったものの選択眼も“学ぶ”ことによって得られるのだと思います)などを通じて、優れた知識やスキルを学ぶ環境は多くあります。
“過度な節約”志向に陥ることなく、“学ぶこと”への投資をすることで一歩先を行く「企業家」になりましょう。