O家具が犯した致命的なミスとは?

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最近、O家具の業績が不振なようですね。

それまで、貯めてきた潤沢な内部留保が年内になくなるかもしれないらしいです(これ大問題です!)。

この女性社長は鳴り物入りで登場しましたが、なんでこんなことになったのでしょうか?

O家具が父娘の骨肉のバトルになった時に、あなたはどう感じましたか?

まぁ、世間でもこのバトルについてはいろいろ言われていました。

どちらかというと、叩き上げの頑固そうな父より、華麗なキャリアを待つ洗練された娘さん(以下、K社長)を応援する声が多かったように感じます。

 

私も綺麗な人だなぁと思ってK社長を見ていましたが、経営の話となると別です。

あなたは主導権を握った娘さんのO家具が上手くいくと思っていましたか、そうでないと思っていましたか?

その理由は何ですか?

 

私はその当時、個人ブログ(現在閉鎖しましたが)で上手くはいかないだろうと書きました。

それはなぜかというと、経営の「定石」から大きく外れていたからです。

マーケターの多くはそのように考えていたように記憶していますが、中には上手くいくと考えていた人もいたようです。

しかし、この上手くいくと考えていた人も、突き詰めればこれだけ「定石」をはずしても自信があるのだからK社長には何か“秘策”があるのかもしれないと考えていたのではないかと思っています(華麗なキャリアだけに期待するものは確かにある)。

 

私が「定石」から大きく外れたと考えた理由は、K社長がターゲットを大きく変えたからです。

それまでのO家具は富裕層を対象にしていました。

しかし、K社長はニトリやイケアと被る中間層をターゲットにしたのです。

もちろん、ターゲットは最初に決めたら変更してはいけないということはありません。

けれども、O家具の場合は富裕層に対して、「高級家具といえばO家具」というような一定のブランドがあったのです。

 

通常、一定のブランドがターゲットを変える場合、新たなブランドを打ち立てるのが「定石」です。

中間層の車というイメージのあるトヨタがアメリカで高級車市場に打って出た時には「レクサス」というブランドで勝負しました。

O家具の場合、既存のお客さん(富裕層)のブランドに対する信頼を裏切る行為です。

バブルの時に日本の若い女性がパリにある本店でブランドバッグを買い漁ったことがありましたが、これを広く受け入れた店は既存客からそっぽを向かれ業績が著しく落ちたという話を聞いたことがあります。

O家具も同じです。

富裕層のお客さんは、私のような普通の人が買わないから優越感を持てたのに、あんたみたいな人でも持てちゃうの、ちょっとがっかりといった感じです。

つまり、O家具ブランドでターゲットを変えたという段階で既存客から見放され、業績が悪化する可能性が高かったということです。

 

もちろん、新しいターゲット層でその業績の落ち込みをカバーできればいいですが、O家具が選んだのはレッドオーシャンの中間層です。

前述したように、強力なライバルであるニトリやイケアがいます。

相手は、何年も前からこの中間層で戦ってきており、手ごろなお値段で販売するための組織などの体制が完璧に出来上がっています。

勝てるとしたら、それこそ“秘策”がなければならないでしょう(私には思いつきませんが)。

 

長年に渡って蓄積してきた内部留保がなくなってしまうかもしれないというのは、もはや惨敗と言ってもいいくらいです。

K社長のO家具はどうなるのでしょうか?

 

なお、親父さんの方のTO家具も業績は良くないらしいですね(公開企業でないので本当のところはわからない)。

しかし、私の見る限りまだ、TO家具の方がリカバリーのチャンスはありそうです。

確かにTO家具も「家という幸せな場所に置く家具(高級品なら長く、もしかすると世代を超えて)」のイメージをこの騒動で大きく落としました。

けれども、親父さんの方は、ターゲットに全然ブレがありません。

ずーっと、同じです。

日本で「高級家具と言えば〇〇」というイメージのところが他に思い浮かばない以上、人の噂も七十五日で富裕層がTO家具に戻ってくる可能性は十分あるでしょう。

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