教科書経営という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
星のリゾートの星野佳路社長が実践している経営方法(?)です。
星野社長と言えば、10年たらずで軽井沢の老舗温泉旅館を巨大な総合リゾート運営会社に育て上げた辣腕経営者として有名です。
星野社長には独特の経営理論や手法があると思いきや、以外にも“経営の教科書通り”に経営しているだけだとおっしゃいます。
星野リゾート社員のモチベーションアップやサービスの向上など、どれをとっても“教科書通り”であり、経営学の理論に裏付けられているのだそうです。
おそらく、実践派の経営者の方は教科書など何の役にも立たない、経営は生きているのだから日々実践の中から学んでいくしかないと思うことでしょう。
しかし、星野社長は、同じく実践を通じて「教科書に書かれていることは正しい」と言っています。
だから、「“教科書通り”でうまくいかないなら、それは理解が不十分で、経営への落とし込みが徹底されていない」と指摘しています。
そして、今でも「課題に直面するたびに、教科書を探し、読み、解決する方法を考えている」のだそうです。
星野社長の言う教科書はビジネススクールで使われているようなものです。
「数多くの企業を対象に手間と時間をかけて事例を調査し、そこから“法則”を見つけ出し、理論的に体系化している。その内容は学問的に証明され、一定の条件のもとでの正しさはお墨付きなのだ」とそれらの教科書を評価しています。
そして、このような教科書で学ぶのは、“経営の定石”を知るためだそうです。
定石を知る必要があるのは、「何も知らないで経営するのと、定石を知って経営するのでは、おのずと正しい判断の確率に差が出る」からだと言います。
もちろん、星野社長も教科どおりに判断すれば、かならず結果が出るとは言っていません。
しかし、成果が出ないとしても「最初の一歩としては正しく、そこから戦術を調整すればいい。何の方法論を持たずに飛び出すのに比べて、教科書に従えばはるかにリスクを減らせるのだから、まずは教科書通りにやってみる。それが大切」とアドバイスしています。
また、星野社長は小さな会社ほど“教科書通り”の経営をするのがいいと言っています。
実際、星野社長が“教科書通り”の経営を始めたのは軽井沢の中小企業である星野旅館の経営に携わってからです(その後、教科書通りに経営することで大きな企業になった)。
小さい会社ほど体力がないものだからこそ、“教科書通り”に経営することでリスクを減らす必要性が高いことをご自身の経験から身に染みて感じているのでしょう。
いかがでしょうか?
星野流教科書経営はハードルが高そうですか?
確かに、いわゆる実務家が書いた経営本に比べて難しいように感じるかもしれませんが、あなたの思うほどとっつきにくいわけでは決してありません。
なぜなら、事例とともに解説されている本も多いからです(アメリカの本なのでアメリカ企業の事例がほどんどですが)。
つまり、これらの教科書はつらつらと抽象的な理論ばかりが書いてあるわけではないのです(そういう本もありますが)。
実際、星野リゾートでは従業員の研修資料として、こういった教科書を利用しているそうですので、見ないうちから毛嫌いせずに試してみてもいいかもしれませんね。
あなたのビジネス、そしてあなた自身が大きく変わるかもしれませんよ。
参考リンク ➡ 経営は「経営の教科書」どおり徹底的に実践するといい
参考図書 ➡ 星野リゾートの教科書