あなたは値下げで勝負していないでしょうか?
お客様があなたの商品を買うのは「価格が安い」からではありません。
あなたの商品が提供する価値が代金などのコストに比べて高いから買うのです。
このことを深く考えないと、あなたは楽で手っ取り早い「値下げ」という方法に頼ることになります。
“価値”というものを考えてみる!?
お客様があなたの商品を買うのは“価値”があるからです。
限られた範囲の時間やお金などのコストをかけて、買いたいと考えている商品から最大の価値が得られるものをお客様は選択します。
つまり、その商品から得られる価値(総顧客価値という)から時間やかかったお金などのコスト(総顧客コストという)を引いた価値(受取価値)が最も大きくなる時に買うという判断をします。
受取価値=総顧客価値-総顧客コスト
総顧客価値は、たとえばパソコンで言うと、処理速度が速くなったといった製品そのもの価値(製品価値)だけではありません。
アフターフォローなどのお客様に対するサービス(サービス価値)やその商品を持つのはかっこいいといったイメージ(イメージ価値)など(他に従業員価値がある)を含みます。
一方、総顧客コストの方も支払う代金(金銭的コスト)だけではありません。
手に入れるための時間(時間的コスト)や「こんなものを買ったらかみさんに叱られるかもしれない」といった心理的な抵抗感(心理的コスト)など(他にエネルギー・コストがある)を含みます。
もちろん、あなたの商品の受取価値が大きいからといって、お客様はすぐに買いはしません。
そもそも、受取価値が“大きい”というのは、何かと比較するから言えるのです。
そして、その比較対象はあなたの商品の代替品です(BMとレクサスのような)。
つまり、お客様はあなたの商品から得られる「受取価値」が競合の代替品から得られる「受取価値」より大きい時、あなたの商品を買う判断をするのです。
あなたの商品の“受取価値”-代替品の“受取価値”=「顧客の知覚価値」>0
値引きは買ってもらうための唯一つの方法か!?
要するに、お客様にあなたの商品を選んでもらうためには、競合品より受取価値を大きくしてあげればいいわけです。
そして、受取価値を大きくする方策は「総顧客価値」を大きくするか、「総顧客コスト」を引き下げるかだけです。
総顧客価値を競合より大きくするためには、
- 商品の機能などを上げる
- サービスの質・量を上げる
- 商品のパッケージや広告などでイメージを上げる
- 従業員の接客などを向上させる。
などすることになります。
一方、総顧客コストを競合より引き下げるためには、
- 価格を下げる(代金、維持費など)
- 商品を手に入れるまでの時間を少なくする
- 心理的な抵抗感を取り除いてあげる
- 商品を探し出すための手間や持ち帰りの手間を少なくする
などすることになります。
しかし、残念ながら多くの中小企業経営者は買ってもらうために安易に「値下げ」を行います。
こんなに多くの方策があるにもかかわらず・・・。
最初は怖いものですが、値下げというのは慣れてくると抵抗感を感じなくなります。
しかも実際に売れたりするわけですからなおさら採用したくなります。
深い考えにもとづかない値下げは、あたかも麻薬ののようにあなたの会社を蝕んでいきます。
売値が利益に及ぼす影響はあなたが思う以上に大きいのです(いずれ記事にします)。
また、そもそも低価格で販売することができるのは、「ヒト、モノ、カネ」に余裕があるリーダー企業です。
だから、特定の地域や特定の商品でリーダーでない中小企業は安易に「値下げ」を選択してはならないのです。
値下げすることに比べて、その他の方策は考えたり実行するのが面倒くさいと感じるでしょう。
しかし、あなたが面倒くさいと思うことは競合もまた同じです。
面倒くさくない値下げで中小企業の多くが勝負しているのを見るとこのことがわかります。
追随しやすい「値下げ」という方法に比べて、その他の方法はマネしにくいのです。
その他の方法で価値を高めているため、無理に値下げしなくともライバルよりお客様の受取価値が大きくなる可能性があります。
逆に価格でしか勝負できない競合はさらに大幅値引きして受取価値を大きくするしかありませんがこんなことは長く続きません。
つまり、価格以外の方法で受取価値を上げることは、経営を健全な状態を維持しながらあなたが客様に選ばれる可能性は高くします。
まとめ
中小企業は「値下げ」で勝負することが多いです。
しかし、この価格での勝負はあなたのビジネスの体力を奪い、確実にビジネスを蝕んでいきます。
中小企業がこのようなリスクのある価格勝負に出るのは、お客様が何故買う決断をするのかを知らないからです。
お客様はあなたの商品が提供する価値がコストに比べて高いから買うのです。
そして、これを知ることは「価格」以外の方法があることを気づかせてくれます。
中小企業は安易に「値下げ」に頼ることなく、その他の方法で勝負したほうがいいでしょう。
なぜなら、あなたのビジネスを健全な状態に維持したままお客様に選ばれることが多くなるからです。