自分の商品の魅力に気付いていない中小企業経営者は多いのではないでしょうか?
ただ店舗を構え、商品・サービスを販売するだけではモノが売れない時代です。
また、商品のスペック的なこと並べても、スペックに意義を見出してくれるような少数のお客様しか惹きつけないでしょう。
それ以外の大多数のお客様に買ってもらうためには、お客様に商品の魅力を十分に伝えなければなりません。
ハイスペックの商品で戦うことが難しい中小企業にとっては商品の魅力を伝えることは重要です。
しかし、自分の商品の魅力が分からなければ、お客様に伝えることはできません・・・。
お客様の問題を片づけられるか?
あなたの販売する商品はお客様の問題を解決する必要があります。
しかし、自分の販売する商品がお客様の何に役立っているかを、しっかり分析できていない中小企業経営者は多いのではないでしょうか?
お客様はよく言われるように“問題を解決する”ためにあなたの商品を買っている以上、商品がどんな問題を解決するのか分かっていないと、ただ商品そのものを売っているだけになります。
つまり、他の類似商品に埋もれてしまい、お客様があなたの商品を手にするのは運任せということになります。
商品の魅力を引き出す方法
商品がお客様の問題を解決することをどのように見つければいいのでしょうか?
これには、商品が持つ特徴をベネフィットへ変換するという方法があります。
コピーライティングの本などでよく紹介される鉛筆の例で見てみましょう。
例えば、鉛筆は「軸が木製」であるという特徴があります。
この特徴によって、お客様は「芯を削れば、再びシャープな字を書ける」というベネフィット(使うことによって得られるいいこと)を得ることができます。
また、「芯は墨芯(黒鉛と粘土できている)」という特徴ならば「間違っても、すぐに消すことができる」というベネフィットを得ることができます。
ちなみに、このようなベネフィットは商品の特徴と密接に結びつくので「機能的ベネフィット」といいます。
鉛筆のベネフィットは当たり前すぎて、本当にこんな分析をして販売上の優位に立てるのかと疑問を持つ人もいるかもしれません。
そう思う人は、鉛筆が登場する時代背景を考えるてみるといいでしょう。
鉛筆が今の形で登場したのは、1800年頃だそうです。
この時代の代表的な筆記用具は筆や羽ペンだったでしょう。
いちいち墨汁やインクにつけなければ、筆や羽ペンはスムーズに書くことができません。
また、筆はメンテナンスをしっかりやらないと綺麗に書けないでしょうし、羽ペンはペン先が消耗するので、堅いペン先を削るための繊細な作業が必要です。
さらに、筆も羽ペンも一度書いたら、消すことができません。
このように考えると、その当時に登場した鉛筆は圧倒的に魅力的に見えたでしょう(鉛筆は今でも代表的な筆記用具の一つであり、ロングセラー商品です)。
鉛筆はベネフィットが浸透しているので、改めて“伝える”必要がないだけです。
しかし、あなたの商品が鉛筆と同じようにベネフィットを伝える必要がないのかはよく考える必要があります。
そもそも、本当に伝える必要がないかは、特徴からベネフィットの変換という作業を一度やってみないと分からないでしょう。
もっと、もっと魅力を引き出しましょうよ!
鉛筆の例で出したようなベネフィットを引き出すことは、ただ商品を置いといて販売することに比べて、お客様に“伝える”ものがあるため売りやすくはなるでしょう。
しかし、残念ながら十分ではありません。
なぜなら、機能的ベネフィットを言っても、「だからナニ?自分に関係があるの?」という状態になるからです。
そもそもその機能的ベネフィットに魅力を感じるのは、現状になんらかの不満やイライラがあるからです。
そして、このような不満・イライラは常日頃意識しているわけではなく、“潜在化”していることが多いのです(書くときに、またこのイライラを再び意識する)。
だから、不満やイライラなどの解決すべき課題が潜在化しているお客様に機能的ベネフィットを言っても「だからナニ?」になるのです。
そうならないようにするためには、商品についての機能的ベネフィットを伝えるだけでは足りず、お客様が持つ潜在化した不満やイライラをまず思い出してもらう必要があります。
たとえば、お客様に次のように伝えるのです。
「羽ペンはインクボトルを準備しなければならないですし、書く前にインクの量が十分かを確認するのも面倒ですよね。また、いちいちインクに浸して書かなければ文字がかすれますので、スラスラと書くことができません。筆が乗っている時には本当にイライラするものです」(不満やイライラ)
こういったことをお客様は伝えられることにより、潜在化していた不満やイライラが意識にのぼってきます。
そのうえで、機能的ベネフィットを伝えます。
「この鉛筆は羽ペンと違い、軸が木製で芯が黒鉛でできています。ですから、インクがなくても書けます。また、長い時間そのまま書き進めることができますし、途中で文字がかすれることもありません。さらに、芯が丸まってきたら簡単に削ることができるので、シャープな書き味がすぐに戻ります」(機能的ベネフィット)
さらに、次のように言うといいでしょう。
「この鉛筆はストレスを感じることがないため、スラスラと書き進めることができます。また、持っている人が少ないので、きっと他の人から注目されますよ」
これは、持つことで優越感を感じるといった感情的な面でのベネフィットで「情緒的ベネフィット」といいます。
情緒的なベネフィットは根底にある不満やイライラと結びつくためお客様の背中を押すという面でとても強力なものです。
ですから、機能的ベネフィットのみならず、商品を使うことで感情的に起こる“いいこと”もしっかり分析するといいでしょう。
頭の中だけで考えるはダメですよ。
商品を提示するだけで、お客様が分かってくれるはずだという罠に陥らないためには、商品の特徴を機能的ベネフィットに変換し、さらに情緒的ベネフィットを洗い出すことが必要です。
そして、頭の中だけで考えるのではなくノートなどに書き残してましょう。
具体的にはあなたの商品の特徴をできるだけ多くリストアップしてください。
最初は多くをリストアップできないかもしれませんが、気にしないことです。
いっぺんに出なくても時間を置けば出てくるからです。
続いて、その特徴から考えられる機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットをリストアップします。
きっと、あなたが思ってもしなかった商品のアピールポイントが見つかるでしょう。
まとめ
あなたは自分の商品の魅力に気付いているでしょうか?
あなたが思う以上の魅力が商品には隠されているかもしれません。
お客様の不満やイライラを理解し、商品の特徴から導き出されるベネフィットやお客様の感情に働きかけるベネフィットを洗い出すことより、今のままの商品でもお客様に強力にアピールできることでしょう。