未来は予測可能か?

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経営者は先を読んで経営しましょうなどと言われます。

しかし、実際には一歩先を読むのも難しいわけです。

人材も資金も豊富な上場企業でさえ、業績予想の修正をしたりするわけですから、私たち中小企業経営者が先を読むのは大変です。

だから、そもそも先なんて読まずに“今”だけを考えて、一所懸命に経営すればいいのではないかというように思う時もあります。

しかし、“今”を一所懸命に経営するというのは、考えて見れば当たり前のことです。

“今”頑張らない人に輝かしい“未来”が訪れるはずがありません。

では、私たち中小企業経営者は未来にどう備えたらいいのでしょう?

確実に予測できることがあります。

それは「良いことは永遠に続かないし、悪いことも永遠に続かない」ということです。

つまり、「禍福は糾える縄の如し」ということです。

実際、経済学の中に景気循環という考え方があります。

短いもので3年程度、長いものでは30年程度の景気の“波”があるとのことです。

しかし、私たち中小企業経営者は、経済学に言われるまでもなく“波”については身に染みて分かっています。

経済学でいうような大きな“波”でない、小さな“波”にも翻弄されてしまいますから。

1年、いや1カ月というような短い期間であっても、直線上に成長していくことはないことは肌感覚で分かります。

つまり、近い将来を予測できているということです。

 

経営が安定しないのは、未来予測できないからではなく、必ず訪れるであろう未来にうまく対処していないからではないでしょうか?

では、どう対処するかです。

江戸後期に佐藤一斎という人がいました。

この人が書いた「言志録」という書物の中に、

『自分の望み通りになった時こそ、一歩後退する配慮がなければならない。』(言志四録 / 講談社)

という言葉があります。

調子がいい時は、店舗を増やしたり、他の儲かっている業種に進出したりなどイケイケドンドンで進み勝ちです。

そこを一歩退いて、本当にこれで良いのか考えるということだと思います。

これは口で言うほど簡単ではありません。

実際“今”調子が良いのですから、進んでいかなければ利益獲得のチャンスを失うように感じるからです。

また、こういった時に一歩退くというのは“無能”とか“臆病”とか思われかねません(経営者にとって意外と辛い)。

 

しかし、バブル期の銀行を見て分かるように、計算のない、つまり儲かっているからとりあえず飛び込むという行動は逆の波が来た時に大変苦しみます。

また、一歩退いていた時に“無能”とか“臆病”と言っていた人が悪くなった時に助けてくれるわけでもありません(このような人は相変わらず“無能”とか言い続けるでしょう)。

私たち中小企業経営者は小さな波でも影響が大きいのです。

ですから、言志録が言うような「一歩後退する配慮」がより必要だと思うのです。

 

 

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