
今日はキャッシュフロー経営についてのお話です。
あなたもキャッシュフロー計算書を作成しているかもしれませんね。
しかし、本当にあなたの経営に役立っているでしょうか?
ということで、中小企業経営とキャッシュフローについて考えてみましょう。
キャッシュフロー計算書は中小企業経営に必要か?
キャッシュフロー経営といえば、キャッシュフロー計算書(以下、CF計算書)と思っている方もいるでしょう。
しかし、CF計算書を作成することで、私たち中小企業経営者は資金収支を重視した経営、キャッシュフロー経営ができるのでしょうか?
もちろん、CF計算書は役に立つものです。
あなたの会社の内部資料を引っ掻き回して見ることができない銀行などの外部の者にとっては・・・。
そういった企業外部の者にとって重要だからこそ、上場企業はCF計算書を開示します。
しかしながら、資金繰りに悩まされることの多い中小企業が悠長にCF計算書の作成など待っていられません。
月次ベースで資金が足りているのか不足するのか判断したいのです。
CF計算書が出来る前に資金ショートし、倒産してしまうかもしれないからです。
要するに、CF計算書は中小企業経営にとって情報として遅いのです(1カ月毎にCF計算書を作っているところはまずないでしょう)。
また、CF計算書はあくまでも過去の結果であり、将来の資金予測ができるものではありません。
昔から、キャッシュフロー経営は行われていた!?
何もキュッシュフロー計算書が登場したから、キュッシュフロー経営が生まれ出てきたわけではありません。
それ以前にも当たり前のようにキュッシュフロー経営は行わていました。
資金ショートして倒産するということは、今も昔も変わらないからです。
それでは、CF計算書登場以前は、どのような道具を使って資金管理をしていたのでしょうか?
それは、資金繰り表です。
CF計算書に比べると、あまりにも洗練されていないネーミングですが、資金のフローを”管理”するための優れたツールです。
今は、会計ソフトに組み込まれていることも多いので作っている方もいると思います。
しかし、ソフトを使っての作成が容易になったためか、資金繰り表の”見立て”が出来ない、単なるアウトプット資料として終わらせてしまっている人もいるのではないでしょうか。
この資金繰り表には実績表と計画表があります。
このうち、資金管理の点から重要なのは、「計画表」です。
たとえば「実績表」をもとに今月は資金がピンチだったから、安全のために借入したとします。
けれども、次の月にまとまったお金が入ってきました(翌月の入金がわからないということはめったにありませんが)。
つまり、借入は必要なかったということです。借入金の利息を払って損したわけです。
このようなことがないようにするため「計画表」は必要です。
しかし、この計画は口で言うほど簡単ではありません。
この点については、「なぜ?経営計画は失敗するのか!?」でお話しした理由と同じです。
参考 ➡ なぜ?経営計画は失敗するのか!?
つまり、売上予測ができないのです。だから、入ってくる将来の入金額も予測できないということになります。
最初は精度が低くて作るのが嫌と思うことも多いでしょうが、いずれ精度が高くなっていきます。
なお、「儲けの仕組み」があり、売上を作れるようになってくると、資金繰り計画表を作るのは楽しくなってきます。
まとめ
CF計算書などの会計テクニックが出てきたからと言って、それがあなたの経営に役立つとは限りません。
なぜなら、会計テクニックの多くは、会社外部の者があなたの会社を丸裸にするための(完全にはできない)ものだからです。
ビジネスの内部にいる当事者であるあなたが今までの優れた管理ツールを捨てて、外部の者と同じツールだけを使う必要はありません。
しかしながら、資金繰り表を作成・理解したうえでのキャッシュフロー計算書の併用は資金管理のパワフルな武器となります。
ですから、資金繰り表をしっかり作成した上で、キュッシュフロー計算書を上手く使いましょう。
なお、奥の深い資金繰り表の”見立て”、つまり読み方についてはまたの機会にお話しします。