前回、銀行はバブル崩壊により大きな傷を負ったという話をしました。
参照 ➡ あなたがお金を借りられない理由!?
このトラウマ克服のために銀行の取った手段は、以下のとおりです。
・返してくれそうもない相手にはお金を貸さない
・返せないようなら、早めに貸したお金を回収する
そして、この手段を実行するために、財務データに重きを置いた融資判断をしています。
なぜなら、客観的・公平で、なおかつスピーディーに融資するかどうか決定することができるからです。
この銀行の融資姿勢に怒りを覚える人もいるでしょう。
マスコミで“貸し渋り”、“貸しはがし”といった過激な言葉が使われたためそう思う人も多いかもしれません。
しかし、銀行を自分に置き換えてみると・・・、
銀行は融資のとき2つのことを考える!?
銀行に対して怒りを感じるのは、借り手目線でしか融資を見ていないからです。
ちょっと、考えて見ましょう。
もし、名刺交換ぐらいしかしたことのない誰かが5百万円の資金を貸してほしいとお願いしてきたら、すぐにでもあなたはお金を融通してあげるでしょうか?
そう、あなたも真っ先に考えるはずです。
貸したお金はしっかり返ってくるのかと。
また、返済してくれそうなので5百万円のお金を貸したとしましょう。
あなたはその後、この貸し手について何もフォローしないでしょうか?
もし、貸した時と状況が一変してその人が返してくれないようなら、なんとしてでも回収したいと考えないでしょうか?
これは、まさに
- 返してくれそうもない人には最初から貸さない
- 返せなくなりそうなら、早めに対策をとり、回収する。
ということではないでしょうか?
つまり、これらはお金を貸す人の“当たり前の行動原理”なのです。
なにも銀行だけが冷たいとかといった話ではないのです。
銀行はあまりよく知らない貸し手の返済可能性を財務データという数値を道具にして判断しているにすぎないのです。
あなたがお金を貸したくないと考える人は、当然銀行も貸したくないということです。
ですから、お金を借りるためには、銀行にとって「(貸しても)いい会社」になればいいわけです。
行動原理からわかる対策方法
お金の貸し借りについての行動原理を知ると、融資に幻想をもたなくなります。
いたずらに、銀行に対して心情に訴えたり、強気に出て見たりといった無駄なことをしなくなります。
淡々と借りやすいように準備をすればいいだけだからです。
個人間のお金の融通なら、心情に左右されることもあるでしょうが、銀行融資は財務データが大きなウェイトを占め、心情面はさほど考慮されません。
攻略すべき財務数値はだいたいわかっているのですから、余計なことを考えずにこの数値を上げるように努力すればいいだけです。
なお、数字をいじって(つまり、粉飾などする)、財務数値を高めても後々苦労するだけなのでやめましょう。
銀行から融資を受けるための心構えは簡単ですが、実質的に財務力を上げていくのはそれ相応の努力がいります。
しかし、財務数値を良くし、本当の意味でのあなたの会社が財務力を身に付けたならば、もはや銀行にとって貸さない理由がなくなることはあなたにもわかるでしょう。
まとめ
銀行融資を特別視すると、融資を受けるための特別なテクニックがあるように思えます。
しかし、銀行融資に限らず、お金の融通は「返してくれそうにない人には貸さない」、「返せそうにないなら早く回収する」というのが行動原理です。
ですから、この行動原理に即して、そのような人(会社)にならなければいいだけです。
そして、銀行融資の場合、この貸したくない人(会社)は財務数値で判断されます。
考えようによっては、攻めるべき財務数値が分かっているのですから、チェックリストをつぶすように淡々と数値をよくしていけばいいだけです。
そして、しっかりと着実に財務力を付けた会社は、銀行にとってもはや“貸さない理由”がなくなります。