法人保険のメリット・デメリット 節税のための条件

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創業して何年か経ち、事業が安定し利益がでるようになると、法人保険のセールスを受ける機会があると思います。

法人保険には様々な種類がありますが、提案されることが多いのが経営者を被保険者とした貯蓄性の高い商品です。長期平準定期保険、逓増定期保険などがこれにあたります。

これらは、生命保険の本来の目的である死亡保障に加えて、大きな節税効果が見込めること、解約時期によって支払った保険料の大部分が返還される利点があるため、経営者にとって魅力的な商品にみえるはずです。

確かに、保険を上手に活用して節税などのメリットを享受している会社は多くあります。その反面、結果的に損失を負うことになるケースも少なくありません。

保険活用の成果は、事業計画、被保険者の年齢など加入法人の個別事情や保険の種類、商品設計などにより違いがでますが、法人保険の一般的なメリット・デメリットや典型的な成功パターンと失敗パターンを知っておくことは、自社の保険契約を検討する助けになると思います。

メリットとデメリット

多くのメリットがあります。

メリット1. 支払事由の発生により保険金を受けられる(保険の本来的目的)

メリット2. 節税の効果が大きい(保険料全部または一部が損金算入される)

メリット3. 節税対策として機動的に実行できる(決算間際にも対応可能)

メリット4. 資金を簿外に積立てておける(解約時の返戻金)

一方、次のデメリットに留意が必要です。

デメリット1. 保険料の支払いによりキャッシュ・フローが悪化する

デメリット2. 解約のタイミングにより解約返戻率が変動する

デメリット3. 解約時に受取る返戻金が課税対象となる

上記のメリットを最大限に受けることができ、かつデメリットが小さい(軽減できる)会社は保険活用を前向きに検討してみるのもよいと思います。

法人保険に向く会社とは

法人保険に最も向くのは次のような会社です。

「将来的に十分な利益とキャッシュ・フローが安定して見込まれ、かつ長期的に適切な財務戦略を実行できる会社」

①保険料を支払っている間は黒字を継続できる

保険料が高ければ高いほど節税の効果(メリット2)は大きくなりますが、保険料控除前で相応の黒字がでていることが前提になります。

保険期間にわたり十分な利益を確保し続けられる会社には、最大の節税が実現します。

②保険料支払のための余裕資金がある

高い保険料は会社の資金繰りにはマイナスです(デメリット1)。節税になるからといって、本来の事業活動に必要な資金を削ってまで保険料を支払うわけにはいきません。

株式などの金融商品は余裕資金の範囲で取得するのが鉄則です。保険契約についても有価証券取得と同等またはそれ以上の資金面での慎重さが必要です。なぜなら、法人保険は一般的に高額であるうえ、一回限りの支出で取得する株式などと違い、保険期間にわたる保険料支出に安定した資金確保が必要なためです。

③解約時は多額の赤字になる手段をとる

長期的な財務戦略により、解約返戻金に対する課税(デメリット3)を回避できます。例えば、役員の退職により多額の退職金費用が見込まれる時期に解約返戻率がピークを迎える保険を利用することで、退職金の原資を確保しつつ(メリット4)大きな節税が可能となります。

法人保険での失敗例

保険で損失が発生する典型例が次のケースです。

①直近の業績が好調に推移していて節税できるならと考え保険を契約。

②加入後、経営環境の急激な変化により業績が低迷。

③資金繰りが悪化し、保険料の捻出が困難となり、低い返戻率で解約。

資金繰りが悪化しても、保険者貸付や契約内容の見直し(一部解約・返戻金の受取、保険料の減額)により一時的に資金不足はしのげるかもしれませんが、業績低迷が長引くと保険解約が避けられなくなるかもしれません。

法人保険は長い期間の保険料支払が必要です。目の前の節税だけでなく、中長期的な事業計画や資金繰りを考慮して加入可否の判断や商品選択をしなくては思わぬ損害を被る危険があります。

まとめ

・大きな節税効果を得るには高額な保険料を払い続けることが必要です。キャッシュ・フローへの影響に注意が必要です。

・うまく活用するためには保険商品の理解と税金の知識が不可欠です。

売り手からの説明だけで判断せず、顧問税理士など第三者の意見も聞いて、本当に自社に合った保険であるか慎重に検討することが大切です。

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