損益計算書の見方とチェックポイント!100%経営に活かすコツ

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あなたは損益計算書をしっかり読めているでしょうか?

  • 利益が出ているかは気にしているけれども、ただそれだけ・・・。
  • 損益計算書をもっと経営に活用かすことはできないのだろうか?

 

損益計算書は貸借対照表と比べて構造が単純なため数字嫌いの人も見ているようですが、積極的に経営に活用している人は案外少ないのかもしれません。

損益計算書のたった3つの利益を抑えるだけで、今までよりスピーディーに自社の弱点を把握する深い見方をあなたはできるようになります。

そして、銀行や顧問税理士から「あの社長は数字に強い!」と言われることでしょう。

1.損益計算書とは?

1-1.損益計算書の全体構造

まず、損益計算書の全体構造を見てみましょう。

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とてもシンプルです。

上から順に引いたり、足したりして、最後の(当期)純利益を出すだけです。

なお、業種によって勘定科目は違いますが(たとえば、建設業では売上を完成工事高と表記します)、損益計算書の構造は同じです。

1-2.損益計算書の見方

損益計算書は「経営成績(利益)」を示すものです。

ただ、最終的な利益を単純に計算するだけでなく、この利益がどうやって生まれたのかを具体的に示しています。

どうやって利益が生まれたのかを示すことが損益計算書のキモですので、損益計算書を有効活用するためには各段階で計算される「利益の見方」を理解しなければなりません。

2.損益計算書の5つの利益の見方

2-1.5つの利益の見方

損益計算書には5つの利益があります。

まず、各利益が何を意味するのかを説明しましょう。

① 売上総利益の見方

売上総利益は“モノ”自体の稼ぐ力(商品力)を表しています。

売上総利益は、「粗利」とも呼ばれています。

 

30円の仕入れた“モノ”を50円で売れば、売上総利益は20円ということになります。

このように、売上総利益は商品やサービスを売ることにより生み出されます。

 

そもそも商品自体に利益を稼ぎ出す力がなければ、給料や家賃などを払うことができず、ビジネスそのものが成り立ちません。

その意味で、売上総利益は利益の根本なのです。

②営業利益の見方

営業利益はあなたの本業(リフォーム業であればリフォーム)で稼いだ利益、本業の稼ぐ力を示します。

 

販売のためには商品があればいいというわけではなく、店舗を持ったり、人を雇ったりなど、営業するうえで最低限の費用が掛かります。

だから、これら商売するために必要不可欠な費用を考慮した利益を損益計算者は示す必要があるのです。

③経常利益の見方

経常利益は、あなたの会社の稼ぐ力を示します。

営業利益は本業の稼ぐ力、会社経営をするうえでの必要最低限の基本的な利益を示しますが、これだけでは十分ではありません。

なぜなら、通常は稼いだお金を銀行に預け、必要な資金を確保するために借入などをするからです。

 

銀行にお金を預ければ利息を受け取ることができますし(受取利息という)、借入をしているなら利息を支払わなければいけません(支払利息という)。

 

経常利益は、会社が活動するうえで、通常発生する財務活動や本業以外の活動(例えば、リフォーム業の他にアパートを賃貸しているような場合)から生じる収益や費用を考慮した利益を示します。

④税引前利益、純利益の見方

経常利益までで、あなたのビジネスから生じる通常の収益や費用は考慮しました。

しかし、会社を運営していると、たまに不動産を売却したといったような大きな金額が動くことがあります。

 

このような“たまに”発生する“金額の大きな”収益や費用を考慮して出した利益が税引前利益です。

このような収益や費用は中小企業の場合、ほとんど出てはこないでしょう。

 

そしてさらに、法人税などの税金を考慮した利益(税引前利益から法人税等を控除した額)が純利益となります。

2-2.3つの利益が示す経営力!?

重要なのは「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」です。

どれか一つに絞れないのという声が聞こえてきますが、ビジネスにおける利益はこの3つのどれもが重要です。

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なぜなら、繰り返しになりますが、3つの経営力を示すからです。

  • 売上総利益(粗利)  ➡  “商品”の稼ぐ力
  • 営業利益       ➡  “本業”の稼ぐ力
  • 経常利益       ➡  “会社”の稼ぐ力

この3つの利益に重要な意味があるからこそ、弱点を知り、対策を取ることができます。 

3.3つの利益で経営の弱点を知るためのポイント

3-1.売上総利益から経営の弱点を知るポイント

売上総利益を前期と比較することにより、弱点を知ることができます。

もし、売上総利益が減少しているのなら、原因を掴むために売上総利益より上の項目である売上高、売上原価も期間比較しましょう。

(なお、前期比較によって会社の数字に強くなる方法はコチラで解説しています。)

 

売上総利益の減少の理由は、

  • 値引き販売した
  • お客様のお買い上げ点数(品数)が少なくなった
  • 新規のお客様が減った
  • リピートしてくれるお客様が減った
  • 原材料の高騰や燃料代が上がったため、原価が高くなってしまった

など、いろいろあるでしょう。

 

このように、原因を特定することで、より効果のある対策が立てられるようになります。

ちなみに、弱みを平均点レベルに引き上げる方が、強みをさらに引き上げるよりずっと簡単で効果的です。

3-2 営業利益から経営の弱点を知るポイント

営業利益で弱点を知るのも期間比較が効果的です。

売上総利益が前期なみで、営業利益が落ちているのなら、販売管理費が増加してしまったということです。

その場合、販売管理費の各項目についても期間比較して原因を特定しましょう。

 

たとえば、営業利益が減少したのは、

  • 売上増のためのキャンペーン実施で販売促進費や広告宣伝費が増加した
  • 交際費が増えた
  • 雑費に大きな費用が計上されている(どのような内容の費用でしょう?)

からかもしれません。

 

実は販売管理費の多くが、家賃などのように会社の売上が増えようが、減ろうが掛かってしまうものなのです(これを固定費といいます)。

こういった固定費は売上が落ちたからと言ってすぐに減少させることはできません。

 

しかし、販売促進費のような費用は売上を上げるために支出したのですから、効果がなければその支出は失敗と考えて販促費を削減しようとします。

 

もちろん、商品自体の寿命(ライフサイクル)が終わりに近づいていて、どんなことをやっても売れないということはあります。

しかし、販促のやり方が上手くなかったとしたらどうでしょう。

 

この場合、営業利益が減少したのは、販売促進費を支出したからというより、むしろ、“効果的な販促ができなかった”ことが根本的な原因です。

 

この根本的な原因にメスを入れることなく安易に費用削減だけで対処すると、翌年はもっと売るのが難しくなるでしょう(負のスパイラルに陥る危険)。

モノが売れない時代に、利益だけを見て費用削減してしまう危険はここにあります。

 

ですから、営業利益が減少している場合、無駄な支出が多かったからと一律に支出を減らすのではなく、その支出の必要性をしっかり考えて対策しければなりません。

3-3 経常利益で経営の弱点を知るポイント

あなたの会社が銀行から借り入れをしている場合、支払利息は経常利益に大きな影響を及ぼします。

この支払利息を払うための原資となるのが営業利益と受取利息(と言っても預金利息は微々たるものですが)です。

 

経常利益が前期と比較して減少しているなら、まず、営業利益(本業で稼ぐ力)、売上総利益(商品が稼ぐ力)が落ちているのではないかと考えましょう(その場合、3-1、2を参照)。

もし、営業利益が前期と比べてそれほど減少していないのに、経常利益が減少しているのなら、営業外費用の中の雑損失という項目に異常が見られるかもしれません。

いずれにしろ、営業利益以外の原因であれば、内容を吟味し、不必要なものなら削減努力をしましょう。

 

なお、経常利益の減少の理由が営業利益の悪化である場合、銀行はいい顔をしません。

なぜなら、貸した金の利息がとれない場合、銀行は“商売あがったり”だからです。

銀行はあなたに融資することがビジネスになるか見るために、「インタレスト・ガバレッジ・レシオ」という財務指標を銀行融資の判断基準の一つとしています(インタレスト・ガバレッジ・レシオの詳しい解説はコチラです)。

4.損益計算書で重要なものは本当に利益か?

ビジネスは利益を生み出さなければなりませんが、中小企業経営者である私たちは利益を常に重視しなければならないのでしょうか?

利益を軸足を置きすぎると、どうしても費用削減至上主義に陥りがちになるからです。

 

この点について少し考えて見ましょう。

たとえば、いくつもの穴が空いた桶に水を入れるとしましょう。

注ぐ水が売上であり、穴から出ていく水が費用、そして、桶に残った水が利益です。

桶の中に水をためる(利益を出す)ためには、水を注ぐか(売上を増やす)、穴を塞いで水漏れを防ぐ(費用削減)しかありません。

つまり、桶の中の水は直接コントロールできないのです(それ自体を直接増やしたり、減らしたりできない)。

 

もちろん、費用削減は大切な心掛けではありますが、費用をまったく支出しないような経営をすることはできないので、費用削減は自ずと限界があります。

 

だとすれば、桶に水をためるためには、水を注ぎ続けるしかありません。

 

確かに、ビジネスが成熟しており、これ以上の売上を増やすことができない場合もあるでしょう。

しかし、それは国内市場が飽和状態である大企業のケースがほとんではないでしょうか。

 

中小企業の場合は、狭い地域で営業をしているので、まだまだ売上を伸ばす余地があります。

地域一番店になるという戦略は、まず自分の商圏で一番になり、その地域での勝ちパターンを近隣の地域に適用して売上、利益を拡大していくものです。

つまり、戦略の巧拙によって、中小企業はまだまだ売上を増やす余地があることを示しています。

 

ですから、自社に費用削減する余裕はもうないという経営者の方は、諦めずに売上を増やすということを考えなければなりません(費用削減に頭を悩ましても仕方ない)。

 

一般的には損益計算書は経営成績(利益)を示すものですが、その重要な本質(真髄)は「売り上げがなければ、そもそも何も始まらない(利益がどうのこうのという話ではない)」ということを示していると私は思います。

関連記事 ➡ 中小企業の費用削減”至上主義”は危険です!!

5.まとめ

会社は営利目的である以上、利益を生み出ださなければなりません。

損益計算書はこの利益がどのように生み出されたかを知ることができる、いわば利益の明細書のようなものです。

しかし、損益計算書の利益は5つあります。

このうち、経営者は「売上総利益」、「営業利益」、「経常利益」が何を意味するのか知ることが重要です。

この3つの利益から会社の弱点を探ることができ、適切な対策を取るなら、あなたの会社の経営力はより一段とアップするでしょう。

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