決算書を「中小会計要領」で作成すべき理由!?

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あなたは会計ルールを意識して決算書を作成しているでしょうか?

会計士や税理士などの専門家以外は会計ルールを日頃から意識している人は少ないでしょう。

また、中小企業の会計ルールは何かわからない人もいるかもしれません。

 

実は中小企業には、「中小企業の会計に関する基本要領」と「中小企業の会計に関する指針」という会計ルールがあります。

 

この記事では中小企業の9割が対象となる「中小企業の会計に関する基本要領」について解説します。

1.中小企業の会計に関する基本要領とは?

中小企業の会計に関する基本要領(以下、中小会計要領)は、中小企業の実態に即して作られた会計ルールです。

2.なぜ、中小会計要領は作られたの?

株式会社や持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)は、会社法に則って会計を行う必要があります。

会計については、会社法のなかで(第431条及び第614条)、「一般に公正妥当な企業会計の慣行に従うものとする」と規定されています。

 

そして、この「一般的に公正妥当な企業会計の慣行」の一つとして「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下、会計基準)」があります。

 

しかし、上場会社と同じような会計基準は、中小企業が利用するには難しい(また、その必要性も少ない)し、負担があまりにも大きいでしょう。

かといって、中小企業の実情にあったシンプルな会計基準は明確になっていませんでした。

 

そこで、

  • 高度な会計処理に対応できる経理人員や十分な経理組織体制がない
  • 大企業と違い、会計情報を必要とする範囲が狭い(税務当局、金融機関など)
  • 法人税法の規定により会計処理が行われることが多い

といった中小企業の実態に即した利用しやすい会計基準を作る必要があったわけです。

3.中小企業は利用しなければならないの?

中小会計要領はその適用が法令等で強制されたものではありません。

 

利用しない会社は従来通り、企業会計基準、中小指針、法人税で定める処理のうち会計上適当と認められる処理、その他一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行を勘案して会計を行うことになります。

4.具体的にはどのような中小企業が利用するの?

上場会社や会計監査人設置会社以外の株式会社です。

また、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社についても利用できます。

 

おおよそ90%の中小企業は中小会計要領の適用対象になります(残り10%の中小会社は「中小企業の会計に関する指針(以下、中小指針)」)。

 

また、中小会計要領ではなく、一定の水準を保った、よりレベルの高い「中小会計基準」を採用することもできます。

さらに、上場企業が採用している最高レベルの企業会計基準を利用することもできます。

5.中小会計要領を利用してメリットがあるの?

中小会計要領は強制適用ではないので、メリットがなければ採用する会社はないでしょう。

 

中小会計要領のメリットは、決算書の「信頼性」が高まることです。

 

一定の会計ルールにより、「継続的に」決算書を作ることで恣意的な会計処理がなくなるため、決算書の質はどの作成年度でも同じになり、決算書を一定の水準を保つことができます。

この結果、金融機関や取引先などの決算書を利用する側は、あなたの作った決算書を信頼するわけです。

その信頼により、金融機関から融資をスムーズに受けたり、取引先から取引の拡大を打診されたりするといった恩恵を受けることになるのです。

 

また、作成年度や同業他社間(他の企業も中小会計要領で作成している場合)で、決算書の作成方法に大きな違いが出ないため、より正確に決算書を分析することが可能になります。

その結果、的確に自社の状況を把握でき、経営改善に役立てることができます。

 

中小会計要領を利用すると、実際の融資でも利率が低い金融商品などによる金融支援を受けることができます。

参考

日本政策金融公庫の融資

その他金融機関の融資

まとめ

「中小企業の会計に関する基本要領」などの会計ルールを利用して、信頼性の高い決算書を作成すると、実際の融資で有利な借入をすることができます。

それだけにとどまらず、あなたが思う以上の様々恩恵をビジネスにもたらすでしょう。

参考

中小企業の会計に関する基本要領

中小企業の会計に関する基本要領を知るための参考資料

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