引退後を幸せにするためには、債務超過で廃業してはいけません!

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あなたの事業は、財務に問題はないでしょうか?

後継者がいないなどの問題により、事業承継をあきらめざるを得ない、つまり廃業を選択する場合でも、債務超過であると「幸せな廃業」は簡単にはできなくなります。

 

この記事を読むと、「幸せな廃業」に向けて何をすべきかが分かります。

そして、早めに取組を開始することによりあなたのリタイア後の生活が穏やかなものになるはずです。

 

債務超過企業は案外多い?

中小企業白書によると、赤字企業はおおよそ4割ほど存在します(中小企業白書2014年度版)。

出典:中小企業白書2014年度版 付注

 

さらに言えば、中小企業のおよそ8割強を占める小規模企業(小規模企業は従業員20名以下の中小企業)では、債務超過企業の割合も高いのです(中小企業白書2004年度版)。

 

出典:中小企業白書2004年度版

 

赤字は債務超過への入口であり、最終的には「倒産」につながる可能性があるので注意が必要です(赤字と債務超過の記事はコチラです)。

 

このことを東京商工リサーチの「2016年 倒産企業の財務データ分析」調査でみてみましょう

この調査によると、倒産企業の49.8%は赤字であり、さらに言えば、倒産企業の61.4%は債務超過の状態にあるとのことです。

 

ほぼ倒産と言っていい債務超過の状態にある会社の社長は、引退した後に幸せな生活を送ることができるのでしょうか?

廃業企業の債務超過割合は高い?

廃業予定企業の経営者は廃業する時にどのような問題があると考えているのでしょうか?

日本政策金融公庫総合研究所のアンケート調査によると、経営者が廃業時の懸念事項として考えているのは次のとおりです。

出典:中小企業の事業承継に関するインターネット調

 

「廃業した後の生活費を確保すること」について32.0%の経営者が問題になりそうだと答えています。

そして、なんと44.6%の経営者は「特に問題はない」と回答しています。

 

廃業後の生活費について考えている人は、それに対して対策や準備をすることでしょう。

しかし、「特に問題はない」と答えている経営者は少し心配になります。

 

本当に廃業後の生活は大丈夫なのでしょうか?

実は小規模企業で廃業(清算)した経営者のうち、「資産超過」の企業は3割から4割程度です。

出典:中小企業白書2007年度版

 

逆を言えば、小規模企業経営者の6割は資産と負債がトントン、あるいは債務超過の状態で廃業しています。

この状態で廃業しても、残念ながら社長のあなたにお金は一銭も残りません。

債務超過企業は廃業後にどうなる?

債務超過企業は、社長自身のお金を会社に貸し付け(会社にとっては社長借入金)していることが多いでしょう。

 

また、金融機関からの借り入れに際しては、社長が個人保証している、自宅などを担保にしているはずです。

 

会社に貸し付けたお金は、廃業する時にはほとんど返ってこないですし、金融機関の借入金は返済できなければ(債務超過だから当然返済できない)、自宅など差し出さなければならなくなります。

 

要するに、債務超過企業の廃業は、社長の老後のための個人資産も食いつぶす可能性が高いのです。

 

ですから、債務超過の企業は、リタイア後の生活資金について真剣に考えなければなりません。

債務超過企業は廃業するとしても、時間とお金がかかる?

債務超過企業が良い廃業をするためには、時間、またはお金が必要です(あるいはその両方)。

 

より望ましい状態で廃業するために、今現在の最悪の状態から脱するための時間、つまり経営改善(いわゆる磨き上げ)のための時間が必要になるからです。

 

また、経営改善の対策がとれずに廃業するような場合でも、あなたのリタイア後の生活が困らないようにする必要があります。

 

このような難しい負債整理を行うためには、弁護士などの専門家の活用が必要不可欠であり余分に金が必要です。

幸せな廃業をするために、時間を味方につける!?

廃業を予定せざるを得ないとしても、債務超過ではなく“資産超過”の状態で廃業しなければなりません。

 

しかし、前述したように経営改善するためには、時間が必要です。

 

このことを面倒だと思う経営者は、問題を先送りします。

けれども、問題を先送りしたからと言って、自動的に債務超過企業が資産超過会社になるわけではありません。

債務超過がさらに悪化し、痛手の少ない廃業をするための費用が大きくなることのほうが多いでしょう。

 

確かに、以前はこういった問題について、誰に相談していいかわからない経営者も多かったでしょう。

 

実際、廃業を決意する多くの経営者は“その時”が来て家族や親族に相談をするか、誰にも相談しないことが多いのです。

出典:中小企業白書2014年度版

 

しかし、廃業を含めた事業承継の問題は、法律や経営に関わる専門的な知識が必要です。

残念ながら家族や親族では有効なアドバイスは受けられないでしょう(弁護士などの専門家が家族や親せきにいる場合は別ですが)。

 

そして、誰にも相談しない理由は、「相談しても解決するとは思えなかった」が39.8%、「相談しなくともなんとかできると思った」が22.2%です。

つまり、経営者の“あきらめ”と“過信”で6割強を占めます。

このようなマインドが良くないことは経営者のあなたなら分かるはずです。

出典:中小企業白書2014年度版

もちろん、100%あなたが望むような解決はできないかもしれませんが、相談したほうが一人で悩むよりもずっと良い結果が得られるはずです。

 

幸いなことに、以前記事にしたように、私たち中小企業経営者のための「公的な相談窓口」などがあります(公的な相談窓口に関する記事はコチラです)。

 

ですから、時間を味方につけて廃業を含めた事業承継問題(事業承継と廃業は表裏一体です)を解決したいと思う経営者は迷わずこれらの機関や顧問税理士などに相談するといいでしょう。

債務超過企業は早めの取組をすると良いことがある!?

債務超過状態での廃業は良いことが一つもありません。

 

中小企業経営者が金融機関や弁護士などの専門家に相談をする時には、経営者自身が手に負えなくなっているケースが多いのです。

このような段階では「遅きに失した」感があります。

つまり、もはや傷口を広げないような“敗戦処理”しかできなくなります。

 

反対に、公的な支援機関に早い段階から相談に行くことは大きなメリットがあります。

早い段階で相談に行き経営改善に取り組むことで、当初廃業予定だとしても、あなたの会社を是非売ってほしいという人が現れる可能性もあります(公的支援機関では会社の売買のサポートもしています)。

 

このように、債務超過状態にあっても早い段階で支援を受けることで廃業以外の選択肢が生まれる可能性があります。

また、廃業するとしても「良い廃業(資産超過状態での廃業)」ができるでしょう。

まとめ

債務超過状態での廃業は良いことは一つもないので、廃業を予定している経営者の方は、税理士や公的な支援機関に早めに相談に行きましょう。

 

事業承継や廃業は会社の行く末を決定する重要なことですが、同時にあなたの残りの人生プランに関わる重要決断でもあります。

 

あなたの引退後の人生を幸せなものにするために、早めの取り組みを強くおすすめします。

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