あなたは起業するにあたって、顧客にどのような価値を提供できるのか考えているでしょうか?
顧客があなたの商品・サービスを求めるのは、よく言われるようにあなたの商品・サービスそのものを欲しいからではありません。
平たく言えば、あなたの商品・サービスを顧客が求めるのは、抱えている問題を解決できるのではと期待しているからです。
長くあなたの商品・サービスが愛されるようになるためには、提供できる価値とそれに対して満足する顧客を特定してから起業する必要があります。
そうでないと、起業後にいきなり失速する可能性が高くなりますし、そうなった場合に軌道修正が難しくなるでしょう。
1.顧客の抱えている問題を解決できるか?
あなたのビジネスは顧客の抱えている問題を解決できるでしょうか?
そもそも、顧客があなたの商品・サービスを買うのは、何らかの問題を抱えているからです。
もし、あなたの商品・サービスがその問題を解決できないのなら、顧客は他の代替品を買うか、買わないで済ますでしょう(今ある商品・サービスを我慢して使い続ける)。
なお、なぜ、顧客が買わない、つまり無消費を選択するのかということについてはこちらの記事に書いています。
たとえば、コーヒーショップを利用する人たちにとっての解決したい問題とは何でしょうか?
- 待ち合わせに早く着いたので時間をつぶしたい・・・
- スマホの充電をしたい・・・
- 仕事の打ち合わせをしたい・・・
- 勉強をしたい・・・
- 考え事をしたい・・・
など様々でしょう。
もちろん、美味しいコーヒーが飲みたいということもあります。
私たちは売っている商品・サービスにだけ着目しがちです。
つまり、私たちの顧客は「美味しいコーヒー」を求めて来店しているのだというように・・・。
しかし、顧客があなたの商品・サービスを買うのは、上のコーヒーショップの例のように様々な理由があるはずです。
起業するにあたって、やるべきビジネスが決定している人は多いと思います。
そして、多くの起業準備者は自分の選択したビジネスが顧客のどんな問題を解決できるのかをしっかりと考えないで事業をスタートさせます。
顧客を無視し、独り善がりで起業しても、あなたの商品・サービスは競合品と同じように顧客の抱えている問題を解決できまぜん。
解決できない商品・サービスを顧客が積極的に選ぶはずがありません(顧客があなたの商品・サービスを選んでのはたまたまということです)。
起業後に顧客がいないで苦労することのないようにするため、あなたのビジネスは顧客のどのような問題を片づけることができるのかを、しっかりと起業前に洗い出すことが必要です。
2.問題を解決できるからこそ価値がある。
顧客の問題を片づけることができるからこそ、あなたの商品・サービスは顧客にとって価値を持ちます。
しかし、顧客の抱えている問題は多分に個人的なものなので顧客の数だけあると言ってもいいでしょう。
そのすべてにあなたのビジネスは応えることはできませんし、また、すべてに応えることが経営上良いというわけでもありません。
ですので、様々な問題を抱える顧客の中からあなたが応えることができる顧客を選択する必要があります。
なぜなら、顧客の抱える問題の中には両立するのが難しいものがあるからです。
たとえば、前述したコーヒーショップの例で言えば、「仕事の打ち合わせをしたい」と「(気が散らないで)考え事をしたい」は両立するのが難しいかもしれません。
3.顧客を絞る方法
すべての顧客の問題を解決することができない以上、顧客のうちのいずれかを捨てざるを得ません。
逆を言えば、あなたはどの顧客をターゲットにするのか絞る必要があるわけですが、この顧客の絞り方には様々な方法があります。
(顧客の絞り方、ターゲティングの方法についてはこちらの記事で解説しています。)
中小企業の場合、あなたの商品・サービスを使うことで顧客はどんなメリットを得ることができるのかという観点で顧客を絞り込むといいでしょう。
この顧客が得ることができるメリットを「ベネフィット」と言いますが、ベネフィットは抱えている問題が解決できなければ得られるはずがありません。
この意味で、顧客にとって抱えている問題を片づけることとベネフィットは因果関係があります(ベネフィットについてはこちらの記事で詳しく解説しています)。
4.では、あなたはどのような価値を提供できるのか?
あなたの売る商品・サービスは顧客の様々な問題を解決するでしょう。
そして、あなたは顧客のどのような問題を最優先するのか選択します。
その結果、その問題を抱える顧客はあなたの商品・サービスからベネフィットを得ることができるでしょう。
しかし、中小企業はなるべく画期性や多機能・高機能などの顧客の問題に応えないほうがいいでしょう(中小企業が高機能・多機能製品で差別化を目指すのは難しい理由はコチラの記事で解説しています)。
そうではなく、選択した顧客が抱える特定の問題に合わせて商品・サービスをカスタマイズする(カスタマイゼーションと言います)などの価値提案をすべきです。
カスタマイゼーションに限らず、売っている商品に付随するサービスまで視点を広げると中小企業でも提案できるものはいろいろあるものです。
5.まとめ
顧客への価値提案考えるのは机上の空論、言葉遊びと感じる人もいるかもしれません。
そんなことより、早く起業してビジネスに参戦したいと思うでしょう。
しかし、「顧客の解決すべき問題の洗い出し」と「ある問題を解決することでベネフィットを得る顧客の特定」はじっくり腰を据えて取り組むことをおすすめします。
このような作業を面倒に思わず実践し、試行錯誤することにより競合との間に抜きがたい差を作ることができるようになります。